『ONE PIECE 86』

尾田栄一郎『ONE PIECE 86』(集英社、2017年)は、いよいよビッグ・マムの茶会(結婚式)が始まる。スイート三将星の最後の一人カタクリが登場する。カッコいい敵キャラクターは久しぶりである。未来が見えるということでチートになると懸念されたが、焦るところでは焦っている現実的な存在である。口元が常に隠れている点が気になる。シリアスなイケメンキャラに見えるが、実は口裂け男というギャグがあるかもしれない。

ビッグ・マム(シャーロット・リンリン)は情緒不安定である。永続的な領土を持ち、海賊団というよりも国と呼べる体制を持っているが、ルフィ達が関わらなくても放っておけば自滅するのではないか。

四皇のうち、白ひげとシャンクスは人格者であるが、ビッグ・マムとカイドウは人格に問題がある。四皇として同列に並べられるか。自分の感情から自由になっていないのに海の皇帝のような存在と言えるのか。完成された悪のボスと言えばクロコダイルを超える存在は出ていないと感じる。

この巻ではジンベエが魅せる。海侠の通り名にふさわしく、筋を通した。ビッグ・マムのような存在に筋を通す必要があるかとの疑問はあるが、白ひげ亡き後の魚人島の後ろ楯になったという義理はある。四皇が登場して以来、王下七武海は小物感が出ていたが、王下七武海の価値を押し戻すことに貢献した。

『ONE PIECE 82』

尾田栄一郎『ONE PIECE 82』(集英社、2016年)はゾウ編が一段落し、ルフィ達はサンジを取り戻すために四皇ビッグ・マムの本拠地ホールケーキアイランドに向かう。モモの助やミンク族がワンピースという話の本筋に関係する重要人物であることが判明した。

この巻の最終話である第827話「トットランド」でビッグ・マムの領地に入る。これまでのところ、ビッグ・マムには悪役のイメージがある。自分の命令を他者に押し付ける暴君である。ビッグ・マムの話は不思議の国のアリスを下敷きにするのではないかとの指摘がある。それならばビッグ・マムはトランプの女王に相当し、やはり悪役である。

ところが、今回の話ではビッグ・マムは「世界中の全種族が差別なく暮らせる国」を目指しているという。ワンピースは過去に魚人島編で種族差別問題を扱った(林田力「『ONE PIECE』第63巻、人種差別のアナロジーで物語に深み」リアルライブ2011年8月6日)。この流れからするとビッグ・マムは善玉になるかもしれない。しかし、どう見てもビッグ・マムは悪役風である。差別はないが、支配抑圧のある社会、多様性が否定される社会というような深い世界を描こうとしているのかもしれない。

『ONE PIECE 81』

林田力

尾田栄一郎『ONE PIECE 81』(集英社、2016年4月4日発売)は週刊少年ジャンプで連載中の漫画である。ドレスローザで戦っていたルフィ達に先行してゾウに上陸していたサンジやナミ、チョッパー、ブルックに加え、ゾウの住民であるミンク族が表紙になっている。

ミンク族はウザイところもあるものの、筋を通す人々であることが最後に分かる。良いところでコミックスが終わっている。『ワンピース』は任侠色が強くなっている。ヤンキーをもてはやす風潮よりはずっと良い。

今後の物語はゾウを襲った四皇カイドウ傘下のジャックとの対決と、サンジを連行した四皇ビッグ・マムとの対決が平行しそうである。四皇の二勢力を同時に相手するとは麦わら一味も強大になったものである。

麦わらの一味もメンバーが増えた上に行動を共にする同盟者もいるため、全員が同じ活動をするものでもないだろう。一昔前のサッカー日本代表のようにボールの飛ぶ方向に全員がダッシュするのは下手なサッカーである。『ワンピース』は仲間の絆を重視する作品であるが、皆が同じ方向を向くという特殊日本的集団主義の悪い面はない。

この巻ではサンジの一族の話題が登場する。これまでサンジは実力の割には見せ場が少なく、勿体無いキャラクターであった。サンジがキーパーソンになりそうな展開に注目である。

『ONE PIECE 80』

林田力

尾田栄一郎『ONE PIECE 80』(集英社、2016年)はドレスローザ編が完結し、ゾウ編に突入する。海軍大将・藤虎の追及をどのように逃れるかが見所である。今は海軍大将と雌雄を決する段階ではない。よくある漫画のパターンは追及者が本気を出さずに見逃すという展開である。それでは御都合主義になる。『ワンピース』は藤虎が本気を出せない状況を生じさせた。それもルフィの力である。

その後には麦わらの一味の組織にとって重要な変化が描かれる。ここではルフィの自由に対する感覚が示される。組織には囚われないが、つながっているという現代人の求める理想的な関係が提示されている。やはり現代人にとって組織は束縛するものというイメージがある。

ゾウ編は想像を超える世界が描かれる。雲の上や海底の島が出た後は、これよりも不思議な島を描くことは難しいのではないかと思っていたが、まだまだ『ワンピース』の世界は深い。ゾウでは異なる種族と遭遇する。人種差別や民族差別の浅はかさを感じさせる描写がある。ワンピースは魚人島編でも人種差別批判と読める描写があった(林田力「『ONE PIECE』第65巻、排外主義者の思想に迫る」リアルライブ2012年2月9日)。社会性の深いエンタメ作品である。

『ONE PIECE 79』

林田力

尾田栄一郎『ONE PIECE 79』(集英社、2015年)はドンキホーテ・ドフラミンゴとの闘いに決着がつく。国中が力を合わせて闘う展開は王道作品に相応しい。ドンキホーテ・ファミリーに虐げられた人々の思いが熱い。

ドレスローザ編はアラバスタ編のアナロジーになっている。これはワンパターン、マンネリ批判を受けかねないものである。『ONE PIECE』では過去にも空島編と魚人島編でアナロジーが見られた(林田力「『ONE PIECE』第63巻、人種差別のアナロジーで物語に深み」リアルライブ2011年8月6日)。

しかし、海軍大将・藤虎の言動がワンパターン批判を覆す。アラバスタとの類似性を自覚した上でアラバスタとは異なる行動に出た。アラバスタとの類似性はマンネリではなく、物語の必然であった。

藤虎の言動は清々しい。都合の悪い事実を隠す日本の警察不祥事や企業不祥事と対照的である。不都合な事実を隠す東急リバブル東急不動産に苦しめられた東急不動産だまし売り被害者として拍手したい(林田力『東急不動産だまし売り裁判こうして勝った』ロゴス社)。

リク王が平和の王という設定も集団的自衛権や戦争法案で揺れる日本を風刺しているようで面白い。『ONE PIECE』では脱法ハーブなど危険ドラッグが社会問題になっている時期に依存性薬物問題を扱った(林田力『二子玉川ライズ反対運動9ブランズ二子玉川の複合被害』「『ONE PIECE 69』脱法ハーブへの警鐘」)。エンタメ作品の社会性にも注目したい。

『ONE PIECE 78』

林田力

尾田栄一郎『ONE PIECE 78』(集英社、2015年)はドンキホーテ・ファミリーとの戦いの終盤である。第77巻の表紙イラストがドンキホーテ・ファミリーであったのに対し、本書の表紙イラストはドンキホーテ・ファミリーと戦う側が勢揃いした。麦わらの一味だけでなく、スタジアムの戦士達やトンタッタ族も描かれている。

第778話「Tactics No5」ではロロノア・ゾロとピーカの闘いに決着がつけられる。ゾロが独力ではなく、連係プレーで闘ったところが見所である。モブキャラで終わっても不思議ではないスタジアム出場組を活かしている。細部まで考え抜かれた作品との思いを新たにした。

ゾロには唯我独尊的なイメージがあるが、意外と他のキャラクターを見ている。一方でエリザベローを「どっかの王」、オオロンブス提督をカントクと呼ぶように不遜さと間抜けさというゾロのキャラクターは維持している。

ゾロは昔から強いキャラクターであった。それを読者は十分に認識している。このことは逆に、もっと強くなったということを描きにくいということである。一人で闘うのではなく、他者の力を効果的に借りるようになったという点は分かりやすい変化になる。

『ONE PIECE 7』

尾田栄一郎『ONE PIECE 7』(集英社、1999年)は首領クリークの海賊艦隊との戦いの続きである。首領クリークは東の海最強という触れ込みであるが、それに見合った大物感はない。

手口が卑怯である。ゼフを人質にとって法外な要求を出す。私は東急不動産だまし売り裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟)において大手業者だから真っ当と言えないことを痛感した。それに重なる。

実際、首領クリークの海賊艦隊は話が終わった後も再登場していない。全く愛されていない集団である。クロネコ海賊団のジャンゴやアーロン一味のハチのように部下が再登場したケースもある。それにならえばギンの再登場を期待できそうであるが、そのようになっていない。仕える主を間違えたのだろう。

東の海最強の首領クリークの海賊艦隊であっても、卑怯な手を使わなければルフィ達と勝負にならない。海賊王を目指す一味とは格が違う。しかも、麦わらの一味は全勢力で海賊艦隊と対峙しているのではなく、ナミを探すグループと分かれている。その後の連載では常態化した別行動は、ここでも見られる。

本書の見所は、片手間感のある首領クリークとの対決よりも、サンジとゼフの過去のエピソードである。これは泣ける話である。過去の義理を重んじるところも素晴らしい。ワンピースは過去の深い話があるところが魅力である。単なるバトルの連続に陥っていない。

『ONE PIECE 1』

尾田栄一郎『ONE PIECE 1』(集英社)は圧倒的な大人気漫画に成長した作品の始まりである。モンキー・D・ルフィが旅立ち、ロロノア・ゾロやナミと出会う。ルフィのゾロへの勧誘がかなり強引である。

コビーとヘルメッポという後に再登場するキャラクターも登場する。ヘルメッポは、この巻では悪役である。それでも命令に逆らって少女を殺さない良心を持っている。この点がヘルメッポを再登場させる価値のあるキャラクターにしている。

少年漫画では「昨日の敵は今日の友」展開が定番である。これは攘夷を叫んだ幕末の志士が文明開化を主導し、鬼畜と罵った米国を戦後は世界で最も強固な同盟国と呼ぶ無節操で歴史性に欠ける日本人のメンタリティには合っている。

しかし、過酷なイジメなどの現実と直面する現代の子ども達にとって、過去は簡単に水に流せるものではない。「昨日の敵は今日の友」展開は興醒めである(林田力「【コミック】過去の敵への態度に注目『ONE PIECE 第51巻』」ツカサネット新聞2008年9月17日)。悪人が簡単に改心することはリアリティーに欠ける。

このために最初からヘルメッポを良心のあるキャラクターに描く価値がある。この姿勢は『ワンピース』で一貫している。ニコ・ロビンは敵組織の所属のキャラクターであったが、ルフィ達とは最初から最後まで戦っていない。



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